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真っ茶色になったザックを手に、しばしどうしようか考える。


オスを8年くらい前に放浪したことのある友人からメールが来た。
「今までのブログを読んだが、ラオスはそんなに道が良くなったのか。俺が行った頃なんてダートばっかりで、舗装道路は珍しかったぞ」


ラオスに限らず、東南アジアの道路の進歩はめざましい。
私は直接見比べたわけではないのだが、今持っている2002年度情報のガイドブックで「ひどい悪路」「振動と土埃のダブルパンチ」などと散々な紹介のされ方をしていた道でも、いざ通ってみると立派な舗装路になっていて拍子抜けしたことが何度かある。カンボジアのシェムリアプ~コンポントム間や、ベトナム~ラオス国境越えルートなどだ。

僅か2~3年でかくも変貌するものか・・・カンボジアの道路は中国の援助で、ラオスの道路は日本のODAによって整備されたはずだ。我々の税金がこの国の発展に貢献しているのだ。それはいいとして、中国人はカンボジアにビザ無し入国ができるのだから、早く日本人もビザ無しでラオスに入国できるようにならないものだろうか。

また、援助も大切かもしれんが、それ以前に日本国内の財政が火の車だということを分かっておるのかね?小泉純一郎君!と小一時間問い詰めたくもなる。まあ、そこはぐっとこらえて、ともかく楽に移動できるようになったことを喜ぼうではないか。

ただ、中には「ラオスらしさが無くなる」とか、ビエンチャンのセクシーワンピースの彼女が言った「ラオス南部は道の変化がなくてつまらない」という意見もあって、旅の楽しみという点では味気なくなっているのかもしれない。


今日はラオス北部のルアンナムターから、メコン川を挟んでタイと向かい合う国境の町、フェイサイへと向かう。いよいよ、合計1ヶ月半もいたラオスの旅もラストスパートだ。

2年前のガイドブックでは所要9時間とのことだが、今は舗装もされているだろう。

恐るるに足りぬと思ってバスターミナルへ行くと、待っていたのは20人乗りくらいのマイクロバスであった。

気分は一転、嫌な予感がする。
ラオス国内でここまで、長距離の移動はボロいなりにも大型バスだったのだ。それが辺境の地とは言え、国道を走るのがいきなりマイクロバスになるとは、恐らく大型バスが通行不可能な狭路なのではないか。
これから走るのは国道の3号線だが、日本と違って番号の若い国道が必ずしも立派でないことは、これまでの旅程でよく分かっている。覚悟せねばなるまい。

ザックを屋根上に預けて乗り込む。発車まで1時間以上もあるが、ほとんどの席は既にバッグが置かれていて、窓際で空いているのは最後尾しかなかった。
もしこれから走るのがダート道だとすれば、最後尾は乗り心地が悪い上に土埃が押し寄せてくる。しかし通路側の席は暑い上に肘掛けがないので居眠りもできず、しかも急カーブの連続では身体を常に踏ん張らなければならない。
こんなバスに冷房などある筈もなく、灼熱地獄になるか埃まみれになるかという苦渋の選択だが、写真も撮れるので窓際を取った。もちろん陽の当たらない側で。後は野となれ山となれ、だ。

さて、時間つぶしにターミナル内を散歩するか。

ただ、ラオスのバスはいつ発車するのか分からないので安心は禁物だ。大型バスはまだ比較的「正確」で、最悪でも定刻の20分遅れぐらいのものだが、こんなマイクロバスやソンテウは満席になれば定刻30分前でも発車し、客が集まらなければ席がある程度埋まるまで待つらしいのだ。
実際、数日前にこれと同じバスで出発する日本人を見送ったのだが、発車は30分以上も遅れた。これなら壁に貼ってある「Time Table」に「May be」と付け足した方がいいのではないか。定時運行などという概念は無いに違いない。

屋根のある東屋みたいな待合所を囲むようにして、南部行きの大型バスと、北部行きのソンテウがそれぞれ何台も顔を並べていた。
その間を縫って、アカ族の土産物売りおばちゃんたちが外国人を追いかけ回している。また、ビエンチャンまで向かうバスは、屋根の上にバイクを10台も積んでいるではないか。1台100kgとして1トンだ。どうやって積んだのかも甚だ疑問だが、そんな重石を屋根上に積んであのクネクネ道をあの運転で爆走すのだろうか。想像したら寒気がする。どうか横転しないようにと他人事ながら祈るばかりだ。

まあ、何だかんだと言っても、そんなラオスとも明日でおサラバだ。先進国タイに行ったら、こんな牧歌的な光景は見られないのだから。もっとも日本に比べたら十分牧歌的なのは間違いないのだが。


バスの周りが騒がしくなってきた。屋根の上に積んだザックや荷物にはカバーが掛けられ、積み込みをしていた人も降りている。時計を見ると8時半。出発は9時の筈だが、今日は満席になったから出るのか。ホンマ気が抜けんなあ。

乗り込むとすぐに発車した。危ない危ない。乗客のほとんどは欧米人バックパッカーだ。みんなこれから延々と続く旅路がどんなものになるかなど知る由もなく、ひたすら陽気にはしゃいでいる。

ルアンナムターの町を徐々に離れてゆくが、予想通りというべきか、やがて舗装路は途切れてダート道になった。
その道もだんだん細くなって、やがて1.5車線、急勾配と急カーブの連続する本格的な山越えルートになってきたではないか。あっちこっちで道の付け替え工事をしているのを見ると、どうやらこの国道3号線は、やっとこせ舗装に着手したばかりのようだ。こんな主要な町に近い所でも工事中なのだから、これから先も舗装が完成している望みは薄いな。こらしんどい旅路になるわ・・・。

頻繁に出会う工事のダンプカーは凄まじい土煙を巻き上げながら坂道で前につっかえるし、散水車はバスが横を通ろうが関係なしに水を吹きかけてくる。暑いので窓を開けていてもそのたんびに閉めなければならず、それでもどこから入ってくるのか、土埃でみるみるうちに全身が真っ茶色になってくるのだ。フェイサイに着く頃には一体どうなっていることやら。それにこれだけ工事していては、ひょっとしたら9時間で着かないのではないだろうか。心配になってきた。

バスは、日本の林道よりも荒れているようなヘアピンカーブだらけの狭路をノロノロと走ってゆく。今までの舗装路バスのようにブッ飛ばしたり無理矢理追い越したりはしないので恐怖は少ないが、この震度7クラスの地震のような揺れと、まるで洗濯板の上を走っているかのような振動にはうんざりしてくる。

しかしながら、景色は今までの道に負けず劣らず、変化に富んでいて飽きない。
森を抜けたかと思うと、水をたたえた水田地帯。もうもうと煙を上げている焼き畑を見たり、急坂を登った後には山の尾根道のような絶景路に出たりと、ラオスの原風景とも言える景色が車窓の右へ左へと繰り返されてゆく。道は細くなったり太くなったり。川を超えるにも橋などほとんど架かっておらず、そのままザブザブ川を渡ってゆくというワイルドさだ。

途中、いくつかの少数民族集落を通り抜けた。
今までよく見たような木造の家が集まっているが、いくつかの村には電線が張り巡らされて衛星テレビ用のパラボラアンテナも立っているし、電線が無い村でも半分くらいの家には小さいながらもソーラーパネルが備え付けてあったのにはびっくりした。大きさからして照明くらいにしか使っていないようだが、こんな山奥にも文明の利器は確実に浸透している。そんな風景と民族衣装を着た村人たちとの対比が印象深かった。

また、子供たちが遊んでいた手を止めて、砂漠に立っているミーアキャットの群れのように何故か直立不動でこちらを見送る。物乞いをするわけでもなし、そんなにバスが珍しいんか?毎日見とるやないか。見られているこちらは、何だか護送車で運ばれる囚人のようだ。あまり気分のいいものではない。

集落の一つにあるオンボロ食堂で昼食をとり、再び走り出す。

さて、ルアンナムターを出てもう半分くらい来ている筈だが、舗装路はただの一度も現れることはなく、舗装工事中の現場ばかり続くだけではないか。

まったく、工事中の道路というのは下手なダート道よりもタチが悪い。あちこちで迂回を強いられるし、またその迂回路ときたらバス一台が辛うじて通れる程度の幅で、しかも路肩は今にも崩れ落ちそうなのだ。場所によってはひどくぬかるんでいて、その度に泥水の池の中をタイヤ半分まで浸かりながら最徐行で通り抜けてゆく。ぬかるみにハンドルを取られでもしたら最後で、まるで綱渡りをしているみたいだ。

運転手さん、アンタは飛ばし屋ではないようだが、くれぐれも頼んますぜ・・・こんな山奥でズルリといって斜面を落ちたら、恐らく次の日まで発見されんだろうから。それにぬかるみでスタックしたり、今まで何回もあったようにパンクしたりしたら、到着がいつになるか分かったものではない。

そう祈っているそばから、ぬかるみでスリップしてヒヤリとする。先ではダンプカーが断崖の路肩ギリギリで横転して積荷の砂利をぶちまけているし、シャレにならんぜ・・・頼むから無事に、暗くなるまでに着いてくれ・・・。やはりラオスのバスには心労がつきもののようだ。


陽も沈みかけ、揺れと振動と心労で乗客の顔にも疲労の色が濃くなってきた17時50分、やっとのことでフェイサイの町外れにあるバスターミナルに着いた。所要9時間20分。あれだけ徐行したにしては上出来だ。

バスから降りても、まだ振動が残っている。ずっと座っていた筈だが、まるで何か運動をしていたのではないかというくらい全身が疲れた。

以前、F1ドライバーの中嶋悟が出て「この首は重力の5倍に耐えている」と言っていたサロンパスか何かのCMがあったが、確かに凄まじい横G(カーブの遠心力)と縦G(振動と揺れ)に9時間も全身耐え続けたのだ。8耐(8時間耐久レース)よりも1時間長い。よくやったと労ってあげてもいいだろう。もうフラフラだ。

屋根上に上げておいたザックを受け取ろうとしてさらに脱力した。案の定土埃にまみれて、元の色が分からなくなるくらいに真っ茶色なのだ。周りのバックパッカーたちも必死になってはたいているが、そんな程度で綺麗になるわけがない。
まあ、全身も土埃まみれなのだから同じことだ。早くゲストハウスにチェックインして、バサバサになった頭から、服もザックも何もかも洗いたい。カメラも掃除せねばならないし、疲れているのに今夜はなかなか寝られそうにないな。


はっきり言おう。ラオスを旅したいなら早く行った方がいい。舗装化などの開発によって今のような原風景が失われてゆくということもあるが、こんな移動ごとに疲れ果てるような旅は、なるべく若いうちにしておいた方がいいに違いないからだ。


数回に渡ったラオスの路線バス旅は、いろんな意味でラオスという国を身近に感じられた。

揺れと振動、固いシートに窓の動かないオンボロバス。屋根上に荷物を満載して横転しそうになりながら山賊の出没する山岳路をブッ飛ばすバスは恐怖で寿命が縮まりそうだったが、通路にプラスチックの椅子を並べて座らせたりハンモックを吊したりする満員バスや、通路や座席の下まで荷物だらけで、しかも乗客を乗せたまんまその荷物や郵便を配達するバスは、バスがラオスの生活を支えているということをよく表していた。
そして運転手のかける大音響の音楽や、道ばたの草むらトイレ、赤ちゃんが泣き出しては運転手が叱ったり周りの乗客があやしたりする光景など、生活の息遣いと乗客乗員全体がまるで運命共同体にでもなったかのような妙な一体感があった。

すべて、カンボジアやベトナムで主に乗っていた、旅行者だけのツーリストバスでは決して味わえなかったものだ。

そしてそんなラオス最後を締めくくるバスは、悪路を延々と9時間も走る土埃まみれのマイクロバスだ。ラオスのバス旅は今回の長い旅の中でも特に記憶に残る、というか、身体が覚えている旅になるだろう。ツーリストバスより疲れはするが、断然楽しい路線バスの旅であった。

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バスの発車までに市場を散策する。ここもムアンシンに負けず劣らず少数民族がたむろしていて、布売りもよく見かける。たぶんタイで買うと高くなるだろうから、ここで押さえておこう。
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カオピャックもタイでは見かけないとのことで、最後に賞味しておくべ。

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「Keosouphone GuestHouse」は中継点としては絶好。往きも帰りもお世話になりました。ツインで40000キープ。

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右端がフェイサイ行きのバス。長距離にもかかわらずひときわ小さいサイズで、この先の旅路がどんなものか想像できる。

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中国・雲南省のモンラー行き国際バスがちょうど発車するところだった。これは私たち外国人でも乗れる。3カ国語で行き先を書いてあるあたりはさすが国際便。

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バイクを10台も屋根上に乗せたビエンチャン行きバス。ビエンチャンまではかなりの長旅だ。どうか無事に着いてくれと他人事ながら祈らずにはいられない。

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商売熱心なアカ族のおばちゃんらは、タイやラオス北部の町ならどこでもアクセサリーなどを売り歩いている。しかし、こういった物売りでも他の少数民族の人たちは全くと言っていいほど見かけない。アカ族は商人民族なのだろうか?

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途中の集落では、村人総出でお見送り。

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こういった赤土の悪路が延々と続く。工事のせいで、普通なら平坦だろう道もデコボコで、しかもぬかるんでいる。

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砂埃を巻き上げながらU字カーブを行く。

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ダンプカーが横転している!この悪路では仕方ないわな。しかしどうやって起こすのだろう。こんな山の中で。

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やっと町並みが近づいてきた。そろそろフェイサイだろう。みんな長旅にもううんざりで、到着が待ち遠しくて仕方ない。

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やっと夕暮れ迫るフェイサイに着いた。さあ、これからが大変だぞ・・・。
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